ハルジオン Erigeron philadelphicus
ヒメジョオン Erigeron annuus
たとえばバラならバラ属(Rosa)の総称として、バラ園でそれはそれは多種多彩な花の群れを全部バラと呼ぶことに迷いはなく、そうとしかできない。
ところが、ハルジオンとヒメジョオン、うりふたつで同属の花たった二つを総称することにはためらってしまう。なんて不思議で不合理なことか・・・
理由は長い歴史の間にそのように定着したからで、明治維新以前の日本では、今のように海外からの花や園芸で作り出されるすさまじい数の花に取り囲まれることのないのどかな時代であったから。さほどの違いはなくても、微妙な違いを探しては、味のある、粋な、偉い人が博識をひけらかした、異なる名前をつけて楽しんだ。
近年になり、科学の進歩で膨大な数の植物もすべて学術的に整理されて、分類や統合などが行われ、後になればなるほど学名を花の名として呼ぶようになるが、いままでの経緯の中で、ときに不合理でも人気が優先することや、頑強にこだわることなど、人間の都合によるネーミングが大手をふっている。
Erigeron はムカシヨモギ属とされるが、この和名も時の経過とともに陳腐化していて、やがてはエリゲロン属となるだろう。大元のムカシヨモギなるものは今は見られない。かろうじてヒメムカシヨモギに名を残している。エリゲロンはペラペラヨメナを園芸化したゲンペイコギクといくつかの交配種の流通名となっている。
ハルジオンとヒメジョオンには二つをまとめる良い名前がないことも、一般人にいささかマニアックな区別を強いる事情になっている。
春のハルジオンと秋のヒメジョンで概ね正解なので、間の季節はどちらかだと思って大らかに楽しむことを、きっと花も願っている。
やたら近くで細部をジロジロみるのはマナー違反であり、ましてや触って調べるのは花へのセクハラみたいなものと思い、そんなことは人を診る医者にあたる花の研究者にゆだねて、一般人はそっと眺めて愛でることがたしなみなのではなかろうか・・・
(笑顔の生活情報)
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